私のいとおしい残念な男達


「だから小夏には聞かないで、お前からなら話は聞くっ」



和馬を見据えてそう言い切ると、なぜか目を丸くして驚いた後、クックックッと肩を揺らした


「じゃあ………言わないっ」


「はぁっ?!」


「これは唯一俺と小夏の秘密だな」


まさかの屈託ない笑顔でそう言いやがる

「なァっ!!」


そ、そうきたかっ!? 上等じゃねぇか………


「怒るなよぉ、こればっかりは譲れない」


意地悪くそう言うものの、なんだか今日一番の和馬の笑顔を見たような気がする


「だったらっ………」


済んだ過去の事なんてどうでもいい


「だったら頼むから、小夏と二人だけで会おうとするなよ………」


「あぁそっか、ごめん。小夏はもう波留のだもんな」


こっちに来てる事を、小夏にだけ社内メールで
『会える?』と知らせてきた和馬


「妬きもちか?」

「違うっ! いや……違う事もないが」

取り敢えずひと息つくように、半分残った中ジョッキのビールを一気に飲み干して


ハァッ………と、喉を鳴らした


「あいつが心配するんだよっ、向こうで何かあったんじゃないかって………
お前は、ヘコむと俺を避けるだろ?昔から」


「…………っ」


「少しは真っ直ぐ俺を頼れよ、和馬」



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