私のいとおしい残念な男達
仕事や人間関係で思い通りにいかない事は、幾ら人当たりがよくて優秀でも多々ある
特に仕事では、勝手に信用され過ぎた結果、逆に恨まれる事の方が多いかもしれない
が、それを顔に出さずに自分で解決しようと無理をするのが、
桐生和馬という奴だ
意地になると決まって俺を避け、自分を追い込む
もちろん相変わらず涼しい顔をして、他人にはそんな姿を絶対に見せない
ただ、小夏と付き合っていた時には、その意地
の割合が減っていたようだった
何となくゆとりがあるようにさえ思えた
だからと言って小夏に愚痴っていたり、まして甘えたりしてしていた訳じゃないらしいが
でも、
その小夏と別れて離れた和馬の、今の状態を心配しない訳がねぇだろ
今朝、和馬からの社内メールに返信した小夏から俺にすぐ電話がきた
俺に連絡はない事を伝えると
『じゃあ、今日は和馬に会おうよ』
その日、前から小夏と約束した日だったのに、
そう言いだしたのは小夏の方からだった
「小夏が……?」
その事を話したら、聞いていた和馬が
少し顔を隠し項垂れた
俺が出来る事なら和馬の抱えるものを聞いてあげて欲しいと言った小夏
少しだけ、自分の思う通りにいかない事があったんだと
そんな難しい顔した和馬を見るのは久し振りだった
相変わらず俺に弱みを見せるつもりはないようで、きっと向こうで無理をしているんだろう
大丈夫だと少しはにかんだ笑顔を見せた