私のいとおしい残念な男達



「あの〜、よかったら一緒に飲みませんか?」


カウンターで男2人話していれば、待ち合わせとは思わないだろう

和馬と俺の座る席に、2人の女が近づいてきた

余程自分たちに自信があるんだろう
確かに見た目の女子力はあるみたいだが、空気は読めねぇみたいだな


逆ナンか………ったく


意を決して声を掛けてきた2人は、何かを期待する表情ですぐにでもカウンターにいる俺達の両隣りの席に座ろうとしていた


「悪いが………」


ナンパ女たちを、手を振って軽く追い払おうとしようとした時、スッと伸びてきた和馬の腕が俺の首に巻き付いた


「うぐっ!?」

力一杯引っ張り上げられキュッと抱きついてきた和馬


「え、ちょっ!?」




「悪いけど、邪魔しないでくれる?」



俺の肩を抱え込みながら俺からは見えないその表情で、ナンパ女にそう言い放った

かっちりスーツ着た長身で見映えのいい男2人
がいちゃつくとかあり得ないだろっ!?


一体どんな顔して言ったのか、そのナンパ女たちの顔が引きつっていく



「あ……そう………ご、ごめんなさいっっ!」


真っ赤になって、そそくさと離れていく2人


俺に抱きつく和馬を、他の何人がその状態の俺たちを見ていたんだろう


「………どうゆうつもりだよ」

完全にそうゆう関係だと思われただろっ!

俺から離れながら、どうしようもなく込み上げる笑いを止められないらしい


「クックックッ………これでもう声はかけられないだろ?最近の女性たちはこうゆうのが好きらしいから」


でも

面白いことをみつけたみたいにさっきとは違い無邪気な顔をする和馬



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