私のいとおしい残念な男達
本当は………
** 和馬 **
傘をさす程ではなかった雨は、
居酒屋を出てもまだそのまま霧雨状態だった
それは夜の寒さで冷たく身体にさわる
そんな中、大通りまでタクシーを拾えるところまで歩いた
「明日は小夏と見送りに行くから」
「ああ、昼にじゃあ空港で………あ、波留」
駅に向かうタクシーに乗り込む波留を一瞬引き止めた
「さっき話した仕事辞める事、まだ暫く小夏には話さないで欲しいんだけど、決まった訳じゃないし、きっと心配するから………」
「ん、分かった」
まあ、本当にそうなったらすぐに分かる事だろうけど
波留の乗ったタクシーを暫く見送って
傘もささずに暗く冷たい霧雨に頰を晒しながら歩いた
………起業か
始めはただ、自分が集中できる何かがしたいと思っただけだった
具体的に考えてみると、思いのほか自分のやりたい事に行き着いていく
「こっちに帰ってくるのか?」と、波留にそう言われて考えた
独立するなら確かに日本での方が楽だろう
いままで積み上げた『つて』もあるし、起動にも乗り易いはず
だが
「いや、向こうでのほうがあってるから」
逃げている訳じゃない
やりたい事に意識を向けたいだけだ
傘をさす程ではなかった雨は、
居酒屋を出てもまだそのまま霧雨状態だった
それは夜の寒さで冷たく身体にさわる
そんな中、大通りまでタクシーを拾えるところまで歩いた
「明日は小夏と見送りに行くから」
「ああ、昼にじゃあ空港で………あ、波留」
駅に向かうタクシーに乗り込む波留を一瞬引き止めた
「さっき話した仕事辞める事、まだ暫く小夏には話さないで欲しいんだけど、決まった訳じゃないし、きっと心配するから………」
「ん、分かった」
まあ、本当にそうなったらすぐに分かる事だろうけど
波留の乗ったタクシーを暫く見送って
傘もささずに暗く冷たい霧雨に頰を晒しながら歩いた
………起業か
始めはただ、自分が集中できる何かがしたいと思っただけだった
具体的に考えてみると、思いのほか自分のやりたい事に行き着いていく
「こっちに帰ってくるのか?」と、波留にそう言われて考えた
独立するなら確かに日本での方が楽だろう
いままで積み上げた『つて』もあるし、起動にも乗り易いはず
だが
「いや、向こうでのほうがあってるから」
逃げている訳じゃない
やりたい事に意識を向けたいだけだ