私のいとおしい残念な男達
なんとなく、会社のシステムトラブルに乗じて一時帰国したのはタイミングだ
たまたま
偶然
気持ちが向いただけ………
もう、許してくれているだろうか
考えれば考えるほど身勝手な1年前の俺を
無理をしてでもがむしゃらに仕事に向いて
離れていれば2人の事を忘れてられたのに
実際忙しかったが
一人になればなるほど、人恋しくなっていた
「はぁっ………」
駅まで行く波留のタクシーに、一緒に乗ってもよかったが、「実家に行くから」と断わった
本当は泊まるホテルを予約してあって、実家には明日空港へ行く前に寄るつもりだ
今更長男の家族が住む実家に泊まって、気を使わせるのも嫌だし
もう少しこの暗い湿気を含んだ霧雨の中を一人で歩きたい気分だった
RiRiRi………RiRiRi………
「……………っ」
鳴る携帯を内ポケットから取り出して、着信名を見て少し躊躇した
「………小夏?」
『和馬、今いい?黒木は?』
遠慮がちに電話口近くから話す話し方は、相変わらずだな
「今別れたところだよ、外だけど」
『そっか……』
「波留に用だった?」
って言っても、それだったら俺にはかけてこないか
『うぅん、和馬まだ私の携番残ってた?』
「あるよ、なんで?」
『だって、社内メールしてきたから………』
申し訳なさそうに言う
「ああ、」
そう思ったのは俺の方なのに
お互い別れて離れている自覚はあるんだな