私のいとおしい残念な男達
『一人にして、ごめんね』
「……………っ」
どうしようもなく込み上げる想いを抑えて
喉元が熱くて、携帯を耳に当てたまま何も言葉か出ない
電話で、よかった
今の顔は、誰にも見せられない
暗く人のいない路地裏で、小雨に晒されながら
左手で顔を覆う
『あのね、好きだからね』
「…………ん」
『黒木も私も、和馬をちゃんと大好きだから』
身勝手だったはずなのに
君の黒歴史のトップに名前が上がるくらい
俺は君を傷つけたはずなのに
「…………ん」
それでも忘れられなければいいと思うくらいに
「そっか…………ありがとう、小夏」
精一杯、普通にそう声を出した
君を、本当は俺も大好きだった
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