私のいとおしい残念な男達




伝えたかった事はもっと沢山あった


1年前の別れが、誰のためだったのかとか

彼が私や黒木から本当に離れたかったのかとか


和馬の本当が違うって分かってても、
それでも自分ばかり痛いみたいな気がして、和馬の気持ちまでは考えなしだった

とか


『一年でその泣き虫なおしとけよ、バカ小夏』


黒木が考えさせてくれた1年間

それで答えを出した


黒木と10年も一緒にいた和馬と、私と付き合ってくれた2年間


和馬の中に、ちゃんといたって思った


だから、これからも好きは変わらない

付き合うって形は違っても


大好きだよ、和馬
それはたぶん黒木も変わらない

君の選択を理解出来なかった事を謝りたかった

だって、楽しかったよね。3人で過ごした2年間は、和馬がいなくなって初めて分かった

貴方は

本当に楽しそうにしてたから………




それを忘れないでほしい………




『そっか…………ありがとう、小夏』

電話口から、少し力のない声でそう聞こえた

伝わっただろうか

もしかしたら、今さらと呆れているかもしれないけど


『小夏ごめん、電車が来たからもう切るね』



「あ、うん。じゃあ、明日ね』


申し訳なさそうにそう言って、お互い電話を切った

人のいるところだったのかな
電話でなんかで言う事じゃあなかったかもしれないけど………


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