私のいとおしい残念な男達
「小夏」
私の様子に、黒木は顔を微妙に傾け
スッ、と私の口元に指を伸ばしてきた
視線を合わせ目を細め、口の端を上げて
フッと眉を下げた
整った顔がさらに色気を帯びた表情で頰を上げ、私についたクリームを指で絡め取ると、それを自分の唇へ
「ははっ、子供かよ」
いまクールを決め込んでたイケメンが、頰を上げて笑うって………
それって魔性だろっ!!
私でさえ、思わず見惚れてしまった
『…………ッ』
さっきまで批判してた女子たちの呟きが溜め息に変わった
こいつ、ワザとだな………
『………いいなぁ〜』
聞こえてくる声と溜め息は更に広がってる
生クリームなんて本当に嫌いなはずなのに
「昨日、和馬と話せた?」
まだクリームがついてないか、私は口を拭いながら話を振った
「ん、ああ」
チラリと黒木の顔を覗き込む
「………仕事大変だって?」
それとなく何を話したのか、遠慮ぎみに聞いてみた
「仕事はまぁ大丈夫だろ、和馬だし。
昨日話したのは…………」
話したのは?
「ほとんどお前の話か」
「え……?」
私の話!?
「ああ、寝相が悪かったとか、イビキかくとか、寝言を言うとか…………」
ねぞうぁ……?
「はぁっ!? そんなの嘘だぁ、かかないもんイビキなんてぇっ」
………ッ、そんな話してたのっ!?
「クックックッ………そんなの自分じゃ分かんねぇだろ」
肩を揺らして笑う黒木
「うぅ………」
絶対嘘だ
和馬がそんな話する訳ないもん