私のいとおしい残念な男達
繋がれたままの手に引かれ、空を見上げていた視線を下に降ろした
「……………機嫌なんて別に」
少し前を歩く桐生君が顔だけこっちを向けた
「どっちに対して妬いてたの? 俺に?
それとも波瑠登?」
「えっ?!」
急にそんな事言い出すからびっくりした
相変わらず柔らかい優しい笑顔
3人でいる時だって意味が解らない難しい話はしっかり解りやすく教えてくれるし
何より誉めてやる気をくれる
きっといつも気が回る人で、一緒にいてすごく安らげる
そんな存在の桐生君からドキッとするような事を言われて戸惑った
「考えた事なかった?」
そう言って歩みを止めた
「…………」
考えない訳がない
社内でも有望視されている男性二人に誘われて、仲良く飲みに行くんだもん
自分だけが特別だと思って当然だ
でも、そう思った途端またきっと失敗するんだ
私だってこの年まで恋愛してこなかった訳じゃない
で、今は彼氏なしってことはすべて失敗してきたと言う事だ