私のいとおしい残念な男達
黒木が今どんな顔して話しているか分からないただ胸の心臓の音が段々と高鳴っている
自分のそれと、完全に一致している鼓動の中で
和馬へのどうしようもないもどかしさが伝わってくる
この親愛な二人の友情に亀裂を入れたのは、やっぱり私なんだと
嫌でも思い知らされる
「黒木………あの」
抱き込まれている腕からもそもそと身体を離そうとすれば更に力がこもる
「お前らが付き合ってた時は、どうしようもないくらい楽しそうな和馬がただ羨ましくて、
この先もずっと和馬には敵わないんだって思ってて…………
だから、返せなんて言われても、一度手に入ったらもう何があっても離したくねぇだろ」
ずっと、
まるで長いラブレターを聞いているみたいに、
黒木の低い声が耳に絡みつく
「あいつがまだ小夏を必要なのも分かるんだ、本当はそばにいてほしいのも、でもな………」
「勝手に決めないで」
このまま聞いていれば、自分勝手に答えを出そうとしてしまいそうな黒木へ、身動きの出来ない奴の腕の中から声を出した
少し緩んだ腕から黒木を見上げ、抱きしめられている腕のその中から自分の両手を黒木の頰へ伸ばした
そして、その手はしっかりと奴の頰を捻り上げた
「いぃっ!!」
女の私でも、力を込めれば痛いはずだ
顔を歪ませ私の腕を掴んで離そうとする黒木