私のいとおしい残念な男達
力任せに、私の両手は簡単に取られてしまった
「和馬が繊細で傷つきやすいなんて、私だって知ってるっ」
顔の距離20㎝で口を尖らせ黒木を睨む
黒木が和馬に何を言われたのかは知らない
けど
「だからなに?和馬が私と別れて1年経ってやっぱり後悔してるとでも言いたい訳?」
黒木に掴まれた両手首を勢いで振り回すと、動かないように黒木の掴む手にも力がこもる
「…………っ」
私の放った言葉に顔微妙に歪ませる
………そう思ってたんだ
「そんな事有り得ないから」
溜め息をつきながら手の力を抜いたら、自然に黒木の手から解放された
「それとも、和馬がそう言った?」
言ったとしてもそれは黒木にカマをかけただけだと思う
和馬はそうゆう人だ
和馬は黒木に対してだけに、意地悪になる
昔から素の黒木のコロコロと変わる表情を楽しそうに見つめていたんだ
暫く黙ったままの黒木の顔を覗き込んだ
「お前だって泣き出したじゃねぇか………」
「…………あれは」
今和馬に対して、そんな黒木と付き合っているこの状態に私がどれだけの罪悪感を感じているか分からないだろう
『本当は…去年、小夏を連れて行きたかった
……ごめん、俺にそれが出来なくて』
10年以上ただひたすら想いながら親友でいた黒木とたかが1年離れたからって忘れられる訳じゃない
1年経っても和馬の最後まで変わることない優しさと、どうしようも出来ないもどかしさで、涙が止まらなかった