私のいとおしい残念な男達
微妙に奴の口角が上がった
「…………じゃぁ、ちょっと頭下げてよ」
仕方なく覚悟を決める
この大きめのソファーに普通に並んで座ってみると明らかに座高の高い黒木にそう要求すると、背を凭れ掛け胸を張り、更に視線だけで見下ろして顎を上げた
「ここに乗れば届くだろ?」
自分の膝をポンポンと軽く叩く
「〜〜〜〜っ!」
洗い晒しを乾かせたボサボサの髪が切れ長の目にかかり、それでいて妙に色気を帯びている瞳を向けて頰を上げる
くっ……そうくるかっ、このスケベ変態野郎が
正直和馬を含めていままでの恋愛の中で、自分から迫ったり要求することなんてした事がない
大概は相手のその流れに応じてキスをして、その先へ進むスタイル程度の経験値だ
到底こいつみたいに慣れてなんかないし、自分から迫ることに抵抗すら感じていた
が………
そう思うとますます負けたくない
ソファーに膝を掛け、黒木の肩を支えに奴の膝を跨ぎ、バスローブから脚を投げ出した
その胸板との僅かな隙間を埋めて、両手のヒラで奴の頰を包み込む
それでも余裕な顔して私をしっかりと見つめ返し、口の端を上げる黒木
気持ちが躊躇しているのを、すっかり見破られている
「で?」
「…………っ」
顔を傾けながらその憎らしい口に
ゆっくりと唇を落とした