私のいとおしい残念な男達
蜜月



啄ばむように触れた唇をそのままに、腕を首に回すと、高まる黒木の息遣いを感じる




「………もっと、口あけてよ」


いずれ奴のペースに巻き込まれるその前に、まずは気持ちを疑われた不満をぶつけてやる


そのまま今度は深く舌を巻き入れ、お互いを確認し合うように絡み合う

「…………ん…」


キスだけの行為に、思わず声が漏れて………

やっぱり攻めているのも束の間で、
気がつけば腰から背中に回った黒木の腕に引き寄せられ、奴の体温を身体に感じる中、
そのままあっさり口内の主導権まで奪われた


息継ぎに一瞬離れた唇から熱い糸を引くと


自分が何者かもわからなくなるほどの胸の高まりと欲情という感覚を初めて感じた


「こんなキス、
和馬の時だってしたことない…………」


思わずそう言ったのも気づかないまま、奴に抱きつき顔を埋める


「何回もしただろ?俺とは」


耳元で囁く奴の声で思い出す


「あ………」

酔って黒木に絡んだあの夜の事や、その後の非常階段、暗がりの中で気持ちが確信したあの時の、どれも一瞬で意識を攫われたキスだった


しっかりとマーキングされていた気分だ


顔を突き合わされ「好きか?」と聞かれる


「…………うん」


「「うん」じゃねぇよ、ちゃんと言え。
言葉は耳にちゃんと残るから、俺に聴かせろ」


そのままの体勢でさっきとは逆に私の頰を両手で包み込まれた


「うん、好き………ここまで不思議なくらい」


そんな言葉が、熱い喉元から溢れ出た


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