私のいとおしい残念な男達
入社してすぐにいた総務で、教育係の先輩と噂になった。
いい感じとか、お似合いとか言われてちょっとその気になったところで、彼に食事に誘われそのまま流される様にいい仲になった
同じ部署だから内緒にしていたら、彼の本命の彼女から電話がかかってきて罵倒された
その人と同棲までしていた彼
私とは3回シタだけの2週間の付き合いだった
って言うか、私は彼の浮気相手だった
その内私が部署移動で、顔を合わせなくなってホッとしたけど
その前の恋愛は、大学時代に1年付き合って浮気されたっけ………
あまり恋愛によい思い出はない
「………考えた事ないよ」
そう言うと桐生君はクスッと笑い顔を覗き込んできた
「本当に?」
まるで見透かされているみたいで、目を逸らし俯いた
タクシーを止めたところで手が離れ、すでにそれが寂しく思えた
「小夏、自宅だろ?一緒に家まで送るよ」
そう言って、私の後から一緒にタクシーに乗り込んで、運転手にうちの住所を伝えた
「えっ、でも桐生君とこは会社近くでしょ?! 逆だしうちの後じゃ大変だよ?」
お金だって掛かるし
「いいよ。そんなの全然」
隣に座り肩に手を回して私の頭を引き寄せ、ポンポンと軽くしてくれた
「眠い?」
「うん……」
何だろうこの安心感