私のいとおしい残念な男達


入社してすぐにいた総務で、教育係の先輩と噂になった。
いい感じとか、お似合いとか言われてちょっとその気になったところで、彼に食事に誘われそのまま流される様にいい仲になった

同じ部署だから内緒にしていたら、彼の本命の彼女から電話がかかってきて罵倒された

その人と同棲までしていた彼

私とは3回シタだけの2週間の付き合いだった
って言うか、私は彼の浮気相手だった


その内私が部署移動で、顔を合わせなくなってホッとしたけど


その前の恋愛は、大学時代に1年付き合って浮気されたっけ………

あまり恋愛によい思い出はない



「………考えた事ないよ」


そう言うと桐生君はクスッと笑い顔を覗き込んできた

「本当に?」


まるで見透かされているみたいで、目を逸らし俯いた


タクシーを止めたところで手が離れ、すでにそれが寂しく思えた


「小夏、自宅だろ?一緒に家まで送るよ」


そう言って、私の後から一緒にタクシーに乗り込んで、運転手にうちの住所を伝えた


「えっ、でも桐生君とこは会社近くでしょ?! 逆だしうちの後じゃ大変だよ?」

お金だって掛かるし


「いいよ。そんなの全然」

隣に座り肩に手を回して私の頭を引き寄せ、ポンポンと軽くしてくれた


「眠い?」


「うん……」

何だろうこの安心感



< 39 / 410 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop