私のいとおしい残念な男達
まるで緊張の糸が切れたように、自慢気に頰を上げて私を見る黒木を前に、
何故か訳の分からない目頭の緩みが熱く涙を溢れさせた
「えっ、はっ?!」
急に瞳を潤ませ、それを抑える私に慌てる黒木
「ううぅっ〜………!」
まさかの私がサプライズに弱いなんて、自分すら知らなかった
「これもやっぱり阿部君のアドバイス?」
バスタブの中での指輪のサプライズの後
それを指に嵌めたまま目の上で翳すと、思わず口が緩む
私もなんて単純でチョロい女だと思いながら
黒木が冷蔵庫から出したミネラルウォーターを受け取りながらそう聞いてみた
「…………」
「そうなんだぁ」
黒木の演出じゃなくても、それはそれで嬉しさは変わらない
「阿部じゃないけどな」
………ん?阿部君じゃない?
ベッドに腰掛けた私の隣で、私の飲んだペットボトルを取り上げ、自分の口に運んだ
隣で水を飲む黒木をじっと見上げ、その後に続く誰からのアドバイスかの答えを待った
まさか、女の子とか…………?
「…………愁士」
「えっ?」
我が弟の愁士?
「さりげなく眠ってる間に嵌めておけっていわれたが、ベッドでも気づかねぇからな……」
だからあのワザとらしい爪の長さの指摘かぁ
あれ?
じゃあ愁士は今日………
「ちなみに今日泊まる連絡もしてあるからな」
「なっ!」
そう言えば今日は母親からの【いつ帰るの?】の、お帰りメールかない
まさかの家族筒抜けかぁ………!?