私のいとおしい残念な男達


のそりと起き出して投げられた携帯を手に取った

「電話?ってか投げんなよおま…………」


「それはすみませんでしたっ」

そう棘のある声を出して、私は早々とベッドから出て昨日の服に着替え始めた



「え、あれ、ちょっと………」


「早く電話に出たら?なんか怒ってらっしゃるみたいだし」

朝から携帯に女から「出してよっ!」なんて
これじゃぁ、どっかの浮気男と同じじゃない?


なんだ、やっぱりいるじゃんどっかに女が、
貞操守ってるとか言ってたくせに

あァァ…………っ
そういえばこいつは非常階段で、女の子の告白断っといてキスだけはする男だった


「はぁっ!?お前なんだよこんな朝からっ」


電話に出た黒木が向こう側の女と話している

「お前とか言ってるし………」

腹を立てながら、昨日置いておいたはずのピアスを探す

「…………約束って、したか?そんな、あっ、ちょっと待て…………小夏っ!」


随分仲のいい彼女と電話しながら、
こっちに振らないでくれる?


さがしていたピアスがみつからないまま、もうバタバタと服を着る

そんな私の腕を掴み、帰り支度をする行動を止める


「お前何帰ろうとしてんだっ?ちょっと待ってろよ」


掴まれた腕は振りほどいて、思い切り睨んでやった


「そちらの彼女と約束があるんでしょっ?」

刺々しく、そのまま言ってやった


「彼女?ってお前携帯出たのか?」

「…………っ、」

偶々人の携帯に出ちゃったのは悪いけど、それでもそんな電話かかってくるような女がいるあんたが悪いだろ



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