私のいとおしい残念な男達
裸のままで、私と電話口の女と右往左往している奴がなんとも見るに耐えないが、
ピアスが見つからないし、仕方なく先に上着に手を掛ける
「ったくこの勘違い女が…………」
こっちは頭カンカンにきてるっていうのに、
なんだその言い方、開き直りか?
上等だっ!
本当にこれから針千本買いに行ってやる!!
「葵、お前もワザとだろっ」
ほぉ、その女は『葵さん』ですか
随分可愛らしい名前で、しかも呼び捨てとか?
「そう、小夏だ。前に和馬の彼女だった……」
電話口で私の紹介なんてしないでくれる?
大方その子は、あんたの振り切れなかった彼女ってところかい?
ハハッ、相変わらずおモテになることで………
っん?
私が和馬の彼女だったってことは、その女とは1年以上前からの付き合いってこと?
なんか…………騙されてる気がする
やっぱり男なんてそんなものなんだ
もう、ピアスなんていいから
この場を立ち去ってやりたいのに
ガッツリと身体ごと捕まえられた
「離して、帰るっ」
「帰るな、葵との約束はまた今度にした」
「はぁっ?!」
また今度とか、完全に二股じゃんっ
ハハッ、ふざけんなっ!
「何言ってんの、この…………」
向こう側の彼女の声をスピーカーにして私の前に差し出してきた黒木
「えっ?」
電話口からさっきの女の声が聞こえたが、随分と声色が違う