私のいとおしい残念な男達
「何で私ここにいるんだっけ……」
洗面にいる奴に視線を合わせないで、喋り掛ける
奴から溜め息のような声がして洗面所から出るなり「その背広の携帯取って」と指差された
携帯を取ると、着信履歴の画面を目の前に向けられ
「お前からの着信、酔っぱらって何度もな」
「あ…………」
言われてすぐに、自分の携帯を確認すると、
ほ、本当だ………
「たぶん和馬に掛けてたつもりなんだろうが、間違えて俺に掛けてきてたみたいだな」
…………やっばダメじゃん私、酒やめなきゃ
バツが悪そうに俯いたまま、ソファーに座り込む
んっ………?
「………ちょっと待って、でなんでそれがこうゆう事になるわけ?!」
「はぁ?そんなのお互い溜まってたからだろ」
「たっ……?!」
なんて言い方だ
「そんな訳ないでしょっ!他に言い方があるでしょ、酔った勢いとかっ………」
「俺、酒飲んでねぇし」
だったら何、魔が差したとか………
「それに、確か黒木も彼女いるじゃん」
確か、受付けの秋山玲子ちゃん
「あー……別れた」
そーですか、ってこないだ付き合いだしたって噂で聴いたんですけど?!
ああぁ………そんな事どうでもいいしっ
「あり得ないからこんな事………」
溜め息をつきながら頭を抱えた
「黒木、あのさぁ………何もなかった事にしてくれる?」