私のいとおしい残念な男達
私のその申し出に、黒木は目を細める
「ふぅーん……何もなかった事にねぇ………」
記憶が全くない訳じゃないけど、
この際記憶がないことにして……………
目を逸らしたままコクンッと頭を下ろした
「……………」
「やっぱ、和馬に知られたくないか?」
んなの当たり前だろっ!
『和馬』というのは私の現在付き合っている彼氏の事で、
この目の前にいる黒木波瑠登(くろきはると)の親友だ
「まぁ俺も今、和馬に殴られたくないからなぁ………」
殴る? 和馬が? コイツを?
「………………」
頭を掻きながら奴は、いつの間にさりげなくソファーの隣に座り、耳元に顔を近づけてきた
「じゃあ二人だけの秘密って事で、仲良くしようぜ小夏、お互い身体の相性はバッチリなんだから」
腰にまでスルリと伸びてきている奴の手
「はっ?! そんなつもりはっ………」
「バラされたくないんだろ?」
えっ、脅されてる?
近付いてきた奴の顔を、思いっきり両手で押し出し歪ませる
「調子に乗るなっ!」
大体、私とあんたが仲良くするなんて、絶対あり得ないから