私のいとおしい残念な男達
「あ、そう言えば七瀬さん、例のチェーン店からフルーツソースの追加注文の電話がきてましたよ。全店で取り扱いが決まったそうで、サンプルがてらもう何本か至急って………一応昼出勤だけ伝えておきましたけど」
デスクで商品確認チェック表の作成中の高橋さんに、そう声を掛けられた
ううっ、朝イチでかかってきたか………
「ありがとう。倉庫確認して電話しておきます」
パタパタと倉庫に急いだ
「小夏先輩ー!」
途中、3歳年下の宇野百華(うのももか)に呼び止められ、足を止める
見た目名前をそのまま女の子にしたような、153㎝の小柄でふわふわした子ながらなかなかの豪酒で、昨日の飲みも一緒だった
「モモちゃん、昨日はごめんね」
昨日、飲みすぎたのは分かっている。きっとまた絡んだに違いない
「いいえ~」と隣まで来て、倉庫ですかと一緒に歩きだした
「大丈夫でした?先輩だいぶ正体不明でしたけど、桐生さんと連絡ついたんですか?」
「へっ?」
そうか………私、本当に和馬に電話しようとしてたんだ
「あ、あぁー………うん、あっいや……タクシーで帰ったわ、あの後」
「タクシーで? そうなんですか。じゃあ黒木さんはどうしたんですか?」
倉庫の普通より多少重い扉を開けながら、私の後ろに着いて歩くモモちゃんから、記憶を混乱させる容赦ない追及だ
あれ? そう言えば黒木はいつから居たんだ?
「あー………く、黒木も居たっけかぁ……?」
「ちょうど会社帰りだったみたいで、先輩飲み見直すって、覚えてないんですか?」
「私が電話したんだっけ………?」