私のいとおしい残念な男達

「はっ? 別れた理由?」


『ああっ………』


「……………」

あの場、あのラブホですぐに電話で彼女と別れようと思ったのは…………

たぶん、隣に小夏が眠っていたから


あの日、何度もあった秋山玲子からの未読メールに気がついて開いてみると、

【次はいつ会えますか?】

【何時でもいいです。電話ください】
                 etc. 

このまま律儀に秋山と付き合っていれば、小夏ともう………こうゆう事がないかもしれない

だから秋山玲子とは別れておいた方がいいと思った



シャワーを浴びた後

背広から携帯を出し、眠り込んでいる小夏の隣から彼女に電話をした

夜中にもかかわらず『待ってた』と言う彼女に一瞬躊躇したが、隣で寝返りをうつ小夏が目に入ると、つい顔に掛かった髪に手を伸ばした

「んんっ……やだぁ………くすぐったい」

俺の手を払い除けてそう言った
そんな小夏の声が、いつの間にか電話口に漏れたらしい


『黒木さんっ、今誰かと一緒なんですか?』


「あ………いや」

言い訳しないまま「悪い、無かったことにしてくれ………」と一方的に告げてしまった


だから…………


「………理由は」

言えねぇよなぁ 別に秋山が悪い訳じゃない



『………波瑠?』


「あ、いや別に………なんか違うと思ったから」


自分の思考能力が訳分からなくなってきた


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