私のいとおしい残念な男達
『まあいい、とにかく時間空けておけよ波瑠』
「…………分かったよ」
そう言って電話を切った
ダブルデートかぁ
小夏は和馬で、俺の隣が秋山玲子だよなぁ、
やっぱり………
「チィッ、いきたくねぇな…………」
部署へ戻る方向へ向かうと、阿部が休憩所の二人の所から離れ、横について並んで歩き寄ってきた
「黒木さん、デスクに戻んですか?」
「ん? ああっ」
いつまでサボってもいられない
「さっきの話なんですが……」
「さっきの?」
「怪しい所に出入りしているうちの社員ですよ」
ああ、薬の?
「その本人は井ノ上物産経営者の三男坊らしいですよ」
井ノ上物産? ふぅん………
それから部署に帰るまで、二人に聞いたのだろう話を、歩きながらつらつらと話す阿部
「なぁ、阿部…………」
「はい?」
俺が声を掛けると、ピタリと口を閉じる
「お前はすごいな、そこまで他人の事を心配出来て」
「えっ?」
何となく人の又聞きした噂を話す阿部にイラついた
「………………」