私のいとおしい残念な男達

私と水野君、黒木と秋山さんのそれぞれ二人並んで開園門をくぐり、暫く話しながら歩いた


少し不機嫌な黒木が黙ったままだから、水野君に色々話題をふった

私たちと同じ歳の水野君
明るくハキハキした感じで、黒髪断髪のスポーツマンタイプだ

ラフなパーカーにジャケットスタイルだけど、
スーツを着てもきっと爽やかな好青年といった雰囲気なんだろう


「えっ、弁護士なんですか?」


「いや、司法試験には受かったけどまだ研修公務員だよ、父親の事務所の脛っかじりのね。桐生とは大学の学部は違うけどサークル仲間だったんだよ」


サークルはバスケットと方言の歴史民俗関係だそうだ

和馬とは見事なサラブレッド仲間なんだ……


「水野さんて、ご実家は?」


「ん? 実家は青山に、僕は会社の近くに住んでてね」

おお………自宅があるのに一人暮らしとは、まさに御坊ちゃま あれ?

「どこら辺ですかぁ? 私も今一人暮らしなんです。実家は神戸なんですけど……」


「……………」


「へぇ、じゃあ秋山さんは基本関西の方言なの?」

「はい、実はたまに出ます」

そう言ってペロッと可愛く舌をだす秋山さん


「……………」


「聞いてみたいなぁ、結構関西弁って好きだから」と、なぜか水野君と秋山さんが盛り上がっている



いつの間にか二人の歩く並びさえ変わって、水野君たちの後ろを歩く私と黒木

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