ただ、好きなだけだった。




駅から、姉ちゃんの自転車で2人乗りをして家への道を走った。




「紗由〜」


「…何〜?」


「紗由と2ケツて…久しぶりだね」


「そうだね」


「紗由はクールだしな」


「何でよ」


「家であんま喋んないじゃん。家では笑わないし」


「ふっ……。当たり前じゃない。家にはアイツがいるんだし」



つまんないお喋り。



もーすぐ家に着く。



アイツが姉ちゃんを待っている家に……。



そんな家に私は帰る。



あと少し…


あと少し……



アイツがいる家に……


どんどんどんどん


近づいていく。





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