ただ、好きなだけだった。




ガラララ……



姉ちゃんが扉を開く。


「ただいま〜♪」


姉ちゃんは私と正反対で、上機嫌で扉を開いた。




「柚梨愛ちゃん!!!??」



血相を変えて飛び出して来たのは、言うまでもなく私の母親。




私の姿を見付けるやいなや…私の方にずかずかと歩いてくる。


パシーンっ


私は頬を殴られた。


「本当に貴女は最低なやつね!」


「いってえなぁ…」



「勝手に出ていったのに、柚梨愛ちゃんに迎えに行かさせるなんて!!柚梨愛ちゃんが可哀想よっ!」



「私だって帰って来たくなかったわよ!でも姉ちゃんが勝手に迎えに来たのよ!」


パシーンっ

「またアンタはそんな言い訳ばっかして!口答えなんてみっともない!やめなさい!!」



「ちっ……」



「何よ!その舌打ちは!!」




母親は何も変わっていなかった。




少しだけでも……と、
淡い希望を持っていた自分に、失笑した。




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