ただ、好きなだけだった。


皆が集まっている部屋の……前方の中央。



そこには仏壇があって……そのすぐ前には、小さな箱が置いてあった。




皆、その箱の中を見て涙を流していた。




中には手をのばして、箱の中の物を触っている人もいた。




「ねえ……お姉ちゃん…。皆何で泣いてるの…?あの箱なあに?何が入ってるの…?」


たった4才だった私の、たくさんの疑問が溢れ出した。





……………ぎゅっ




痛いほどに繋がれた手。




「紗由……?あの箱は、棺桶って言うんだって。あの中にはね……?春香が入って…るんだよ…」


そう言って泣き出したお姉ちゃん。



お姉ちゃんだってまだたったの6才だったのに……。


お姉ちゃんはちゃんと春香の“死”を理解していたんだね……。
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