ただ、好きなだけだった。



「柚梨愛……紗由…」



突然名前を呼ばれた私達。


お姉ちゃんは、涙でぐしゃぐしゃの顔で振り向いた。


「「かじゅ君……」」


本当は“和君”と言うはずだった…。

でも泣いているせいか…呂律が上手く回らなくて…とっさに…お姉ちゃんと2人で、そう呼んだ。



そう、そこには……さっきまで百合を支えていた和雅……“和君”がいた。




「なあに?かじゅ君…」


「あのさ……?2人共…もう春香を見た…?」



「見てなぃ……」



「じゃあ見てくれる…?」



「見る……!!!」




私と、お姉ちゃんと、和君は、足早に箱の中の春香へと……近付いた。
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