ただ、好きなだけだった。



「そんな事ない。紗由の家は私達の家、1つだけだよ。紗由の居場所はあの家だけ。他の家に貴女の居場所なんてないのよ」



ハッキリとした口調で、姉ちゃんがそう言った。




「私の居場所はあの家だけ……?ふざけないでよっ!私の居場所なんてない。あの家には…母さんと、父さんと、アンタの居場所しかないっ!」




「何でそんな事言うのよっ!あの家はアンタの家よ!?3人の家じゃない。私と母さんと父さんと紗由の…4人の家だよっ!」




「じゃあ何で私はあの家で1人なのさっ!?私の居場所なんてないじゃないっ!私だけ愛してもらえないじゃない……」




「紗由は私の大事な妹よっ!世界でたった1人の…大好きな妹なのよ……」



姉ちゃんが泣き出した……。



私が“大事”……?

  


私の事が“大好き”…?




本当に……?




私はあの家で1じゃないの?





姉ちゃんが……いてくれてるの?





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