あの日、あの場所で-君に恋した夏の日-

兄貴は鬱病で、ことあるごとに死にたいと言っては、家を飛び出し川へ向かった。

――兄貴は、文学が好きで、太宰治の自殺の美学に憧れていた。

孤独への辛さ、世間の好奇の目。

会社のストレス、失恋。

――これらのことに耐えられなくなった兄貴は、自殺の美学でそれらを正当化し、

何度も自殺未遂を図った。
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