あの日、あの場所で-君に恋した夏の日-
(それなのに、俺の為に…。)
涙がポタ、と、こぼれ落ちた。
そうして、俺が中学を卒業して高校に入る時
――兄貴は、鬱病を発症したのだった。
それからは、生活保護の毎日。
仕事も家事もする気力がなくなってしまった兄貴のために、
俺は出来ることを考え、家事をするようになった。
(俺にも稼げたら…。)
そう考えたけれど兄貴は、
「学生の本業は学業だ。」
と言って、許してくれない。