風に舞う花びら
プロローグ ー花びら
それは甘酸っぱくてほろ苦い、刹那の時でした。
「ねぇおねえちゃん、それなぁに?」
「これはね、すみれっていうんだって」
「ふーん、きれいだね」
「…うん」
広い庭園の真ん中で、2人のよく似た小さな女の子たちが可愛らしい会話を交わしている。
1人は肩にかかる髪を横で束ねて、もう1人はポニーテールを風に揺らす。
「おねえちゃん、あたしね、ここのお花好き」
「うん、わたしも好きよ」
「ずっとここにいたいな…ダメ?」
「だめよ…お父様とお母様が待ってるんだもの」
「うー…しょーがないなぁ」
妹らしき子が立ち上がって服についた砂をパンパンとはらう。
「いこ、おねえちゃん。お母さんとお父さん、待ってるんだよね」
「うん」
2人が手を繋いで歩いて行く途中、2人の手のひらに花びらが舞い降りてきた。
「あ、桜!」
「ほんと」
2人は桜の花びらを見てにっこりと笑った。
「おねえちゃんの名前、きれいだね」
「ありがとう、もも」
そう言うポニーテールの少女の声は少し儚げだった。
「ねぇおねえちゃん、それなぁに?」
「これはね、すみれっていうんだって」
「ふーん、きれいだね」
「…うん」
広い庭園の真ん中で、2人のよく似た小さな女の子たちが可愛らしい会話を交わしている。
1人は肩にかかる髪を横で束ねて、もう1人はポニーテールを風に揺らす。
「おねえちゃん、あたしね、ここのお花好き」
「うん、わたしも好きよ」
「ずっとここにいたいな…ダメ?」
「だめよ…お父様とお母様が待ってるんだもの」
「うー…しょーがないなぁ」
妹らしき子が立ち上がって服についた砂をパンパンとはらう。
「いこ、おねえちゃん。お母さんとお父さん、待ってるんだよね」
「うん」
2人が手を繋いで歩いて行く途中、2人の手のひらに花びらが舞い降りてきた。
「あ、桜!」
「ほんと」
2人は桜の花びらを見てにっこりと笑った。
「おねえちゃんの名前、きれいだね」
「ありがとう、もも」
そう言うポニーテールの少女の声は少し儚げだった。