消せない想い
「いい挨拶ですね」
そういってにこりと微笑む。
「「…!!」」
はい、今ので女子の半分は確実に落ちました。
わたしはその半分には含まれてないけどね?ゆうちゃんは含まれてるけど。
「やばいやばいやばい、ちょっと舞桜、見た!?今の見た!?」
「はいはい、ちゃんと見たから静かにしようね」
隣でうるさいゆうちゃんは軽くあしらっておいて、壇上の彼を改めて見てみる。
…若いな。
と、まるで年寄りのように思ってしまう。
わたしたちと同級生…、高校生だって言っても通じそう。
「僕は今年、はじめて教員となります。新任でまだまだ未熟ですが、みなさんと歳が近いぶん、みなさんの気持ちがよくわかると思います」
なので、とここで先程女子の心を鷲掴みした微笑み登場。
「なんでも相談してくださいね。みなさんの力になれるよう頑張ります。よろしくお願いします」
ぺこりとお辞儀をすると他の先生になら絶対にないであろう大きな拍手がおきた。