哭く花

「美岬、なんか元気ないね」

教室について、席に座った途端に

夢ちゃんがそっと飴をくれた。

「ありがとう」

「どったの」

心配して私の机の横にしゃがむ夢ちゃん

顔が本当に心配そうで、あったことを話すことにした。

「それがね…」

話すうちに、明らかに夢ちゃんの顔が面白がっていくのがわかる。

「え!?それってさ!かの…」

「いいの!別に私は貰ってもらっただけで」

夢ちゃんが何を言おうとしたか、わかった。

でも、先生。お父さん。

「だから。」

ないない。そんなの有り得ない。

今の、幸せな日々があればなにも要らない。

「え?なによ、だからって」

「なんでもない!いいの!誰だったか明日教えるね」

ちぇー、と残念がる夢ちゃんが立ち上がると、予鈴がなった。

また、蒸し暑い1日が、始まった。

< 102 / 133 >

この作品をシェア

pagetop