哭く花

「落ち着きなよ美岬〜」

夢ちゃんが呆れる。

「だって、誰だろう、、って」

時が近づくにつれ、手が細かく震えるのも感じていた。

「安心しなよ、きっと大丈夫だからさ」

そんな話をするうちに、私たちは花壇について、

いつものように雑草を抜いたり、水をあげたりした。

いくつかある花壇には、中央1列に、デイジー、パンジー、チューリップや金魚草などの花が植えてあった。

私たちは3年前に、その周りを囲むように、緑色植物を植えて、淵には小さな花たちを植えた。

夢ちゃんはその小さな花たちをいくつか摘み取ると、

もっていきな、と私に渡してくれた。

3年間大切に育ててきた小さくて色とりどりの花。

微かな匂いに心が和らいだ。

「せっかく育てたのにごめんね」

「いいのよ、花たちも応援してくれる」

もう一度手に持つ花を見ると、

風に揺れて、また少し、元気をくれた。
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