哭く花


「起きたことだし、そろそろ向かおうか」

先生は少し落ち着いたのか、時折口角を少し上げて笑った。

私ははい、とだけ返事をすると壁に手をついて立ち上がった。

体はもう軽かった。

振り返ると膝枕をしていた先生が、

静かに足をさすりながら、

いててて、と私に聞こえないような声を漏らしていて、

その姿に目が潤みそうになるのを隠すため、

先生の方を向いて軽く礼をした。
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