哭く花
入院病棟だからか、

入口で見たようなせわしなさは見られなくて、

やけに静かだった。

その静かさに怖くなった私は咄嗟に先生の腕をつかむ。

先生は、大丈夫。と背中をさすってくれた。

そのままゆっくりとあゆみを進め

ナースセンターにつくと、

先生が私の家族の名前を告げた。

こちらへ、と案内されたのは、6階の一番端の部屋だった。

人気はなかった。

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