哭く花
暫くして、十分に落ち着いた私は、

自らドアに手をかけ、

元気でね、と手を振って笑うと、

涙が出る前に部屋を出た。

看護師さんは既にナースセンターに戻っていて、

先生は、壁にもたれかかったまま、一点を見つめていた。

自分の腕時計を見ると、

私が部屋にこもって既に4時間が経っていた。

「ま、待たせてすみません、」

私はしずかにドアを閉めると、

先生にしっかりと頭を下げた。

「もう大丈夫?ちゃんと話せた?」

4時間も立ってたはずの先生なのに、

それでも私のことを心配して気遣ってくれた。

気を遣わせてしまったことに、また頭を下げ、

「もう、大丈夫です」

と顔を上げた。

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