哭く花
「もしこの先、笑満と俺に何かあれば、二人で残したものを、愛し、繋いでほしい、」
先生は、今手紙を読んだかのようにすらすらと、その中身を言葉にした。
「愛し、そして残したものが幸せになるよう導いて欲しい。このわがままだけはわすれないでいて欲しい。」
そこまで言って、言葉を切らした先生は、
少し涙を浮かべていた。
「そうやって康介に頼まれたからじゃない。康介と笑満の残した美岬だから愛するわけじゃない」
「美岬には、康介と、笑満以上に幸せになって、悔いなく人生を終えて欲しいんだ。」
その幸せを助けるのが、俺でありたい。
先生はゆっくりそう呟いて、
私と小野山さんを交互に眺めた。
「美岬ちゃん。どう思った?素直に言って?」
小野山さんがずっと黙っていた私に不安げな顔で問いかける。
私の答えは決まっていた。
「私、先生と生きていく。」