哭く花
そうやって話しながら車を進めていくうちに、1軒の大きな屋根の家が見えてきた。
「わあ、綺麗なおうち」
「ありがとう」
「え、先生の、?」
こくりと満足そうに頷く先生。
走らせていた車を、その大きな家の正面にある駐車スペースへと停めた。
ここが先生のおうち?ここに住むの?
なんてぼうっと考えていると、
いつの間にか助手席のドアは開いていて、
先生が少し車高の高い車から降りるのを手伝ってくれた。
私が降りた後で、車のロックをかけた先生は、
「どうぞ、美岬の家です」
と私を案内してくれた。
その建物は決して現代的じゃなく、
少し古びているけれど、和と洋が降り混ざったような、木造の二階建てだった。
先生が両開きのドアの右だけを開け、
私を先に入れさせる。
「おじゃまします、わあ」