哭く花
そうやって荷物をばらしたあと、
ふと全体を見渡して、
私はあるものがないことに気がついた。
私は慌てて部屋を飛び出し、
2階から見えた先生の姿を呼び止めた。
「どうした?」
階段を登りながら聞いてくる先生。
「あの、布団は、?」
私の言葉を聞いて、先生はああしまった、と頭を抱えた。
どうやら前一緒に住んでた同居人の女の人の布団があると思ったらしく、
私に言われるまで布団がないことに気が付かなかったらしい。
先生は苦い顔をこっちに向けた。
「俺と同じ部屋、なんて無理だよな」
「む、無理じゃない!です」
私の反論に先生は少し驚きながらも、
「先生だし、それ以前におじさんだけど…」
と弱気な発言。
私はそんな先生に伝えた。
「でもそれ以前に、先生は私のお父さん。」