哭く花


はっ、と息を飲んで目を開けると、

優しく頭をなでる、先生が目の前にいた。

「…夢の中で、会えたのか?」

パソコンから放たれるブルーライトだけが、

書斎に放たれていた。

「みて…たの?」

ふと目をこすると、

指には大粒の涙がまとわりついてきた。

「ああ見てた。1週間ずっと」

先生にばれていた。

私は、少しさみしそうな顔をする先生に

申し訳が立たなくて、

「ごめ…なさい」

涙が止まらなかった。

あの時、一生分泣いた、

もう涙も枯れた。私には感情もない。

そう思っていたのに。

目をつぶった時に感じる手の温もりは、

お父さんと、同じものだった。
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