哭く花

先生はなかなか泣き止まない私を、

子供を扱うように自分の膝の上に乗せ、

向かい合うように座らせた。

そうして私を抱き寄せると、

そのまましばらく、背中をなでていてくれた。

「落ち着いて。夢の中で会えるんだ。」

先生は私が家族を失った悲しみに暮れていると思って、

ずっとずっと、慰めてくれた。

でも、違うんだよ

そう言いたくて、深く呼吸をする合間でタイミングを探した。

「あ、のね」

私がどんなことを口にしても、

先生は優しく、ん?と答えてくれる。

その優しい声が、また涙を溢れさせた。

「あの、ね、違うの。寂しくなんかないの…ごめんなさい」

きっと届いていない消えるような声の謝罪。

私にはそれが精一杯だった。

届かないならそれでもいい。

きちんと言えるようになったら言えばいい。

でも先生は、些細な、どんな私の声でも

きちんと拾ってくれた。
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