哭く花

「っ、美岬よね?本物?寂しかった、会えてよかったっ」

顔を上げた夢ちゃんは涙も鼻水も、

穴という穴から水が出ていた。

「そんなに泣かないで、私もずっとずっと会いたかったっ」

誘われて私も涙が出る。

校門の前では私たちの遅刻に怒声を上げる

最上先生の姿があった。

「こら!!お前ら!!遅刻だ!!急げ!!」

先生は両手を口元に当てて私たちに向かって叫ぶと、

校門閉めるぞ!!と門に手をかけ始めた。

「「待って先生!!」」

二人で揃った声にまた笑顔が溢れて、

涙に濡れて朝露のような瞳は

しっかり朝日を捉えて

校門を駆け抜けた。



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