哭く花

そんな余裕のある先生と裏腹に、私の声は緊張を伴って震えていた。

答えの返ってこない時間が長く感じた。

恐る恐る振り返ると、

先生は幸せそうに笑っていた。

「いいよ、おいで」

目の前に広げられた両手にゆっくりと飛び込む。

初めは、向かい合うような形で座っていたけれど

先生は軽々と私を抱え、向きを変えて胡座をかいた膝の上に乗せた。

さっきと同じような、背中に先生を感じる形。

「先生!私重いから!!」

「軽い平気(笑)」

膝の上で暴れる私を、先生は後ろから抱きしめた。
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