記憶の中の彼


4年生のうちはあまり話すことはなかったが、5年生のクラス替えでも同じクラス、さらに席が隣となったことがきっかけで急速に仲が良くなった。

親同士が親しくなっていたこともあり、ときどきお互いの家に遊びに行くまでになっていた。

思えばわたしは4年生のときから陸のことが気になっていた。

遠くにいてもそっと目で追ってしまう。

そして今でも忘れられない。

本当のところ、陸が死んだとは信じられないのだ。

だから陸の葬式にも出席しなかった。

わたしは現在都内の私立大学に在籍する一年生で、ちょうど夏休みだ。

高校3年間コツコツと勉強した結果、難関と言われる大学に合格することができた。
 
入学時から一人暮らしをしている。

友人はあまり多い方ではないが、中々に楽しく過ごしていると感じる。

勉強を少し頑張って真ん中くらいの成績をとり、適度にアルバイトをし、気が向いたときに少数の友人と遊びに行く。


 
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