記憶の中の彼


「そう」

片瀬さんの家は私の家と近いようだ

「いつからこのバイトしているんですか?」

「4月から」

「へえ。4か月くらいですね」

一問一答状態で、私が発言しないと無言が続く。

ふとある質問を思いついた。

「誕生日はいつですか?」

口に出してからはっとした。

まずい、さすがに変に思われてしまう。

ほとんど話したことがない人間から突然誕生日など聞かれたら怪訝に思われてしまうだろう。

「突然すみません。やっぱりいいです。気にしないでください。あ、そう、最近誕生日占いとかがマイブームなんです。それで急に聞いてしまって」

わたしはなんとも不自然なごまかし方をした。横目で伺った片瀬さんは少し困った顔をしたように見えた。
< 19 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop