記憶の中の彼


「でもどうしておばあさんに会いたいの?」

「陸について聞きたいことがあるの」

母はそれ以上追及してこなかった。

「じゃあ陸におじさんかおばさんはいた?」

「そうね、叔母さんと伯父さんがいる。陸君のお母さんのお姉さんとお父さんの弟さん」

おそらく母は葬儀等で会ったことがあるのだろう。

「連絡先はわかる?」

「変わっていなければ伯父さんの方はわかるわ。メールと電話番号両方あるからとりあえず連絡してみたら?」

親しくない人に電話をするには遅い時間であったため控え、メールを一通送った。




翌日の夜に携帯電話のコールが鳴った。

登録したばかりの陸の伯父からだ。

「もしもし。メールをいただいた陸の伯父です。遠藤咲良さんの携帯電話でお間違えないでしょうか」

< 32 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop