記憶の中の彼
「でもどうしておばあさんに会いたいの?」
「陸について聞きたいことがあるの」
母はそれ以上追及してこなかった。
「じゃあ陸におじさんかおばさんはいた?」
「そうね、叔母さんと伯父さんがいる。陸君のお母さんのお姉さんとお父さんの弟さん」
おそらく母は葬儀等で会ったことがあるのだろう。
「連絡先はわかる?」
「変わっていなければ伯父さんの方はわかるわ。メールと電話番号両方あるからとりあえず連絡してみたら?」
親しくない人に電話をするには遅い時間であったため控え、メールを一通送った。
翌日の夜に携帯電話のコールが鳴った。
登録したばかりの陸の伯父からだ。
「もしもし。メールをいただいた陸の伯父です。遠藤咲良さんの携帯電話でお間違えないでしょうか」