記憶の中の彼
「あ、お電話ありがとうございます。遠藤咲良です。」

「聞きたいことというのはどういったことかな」

陸の伯父さんの人が良さそうな声に安心した。

「はい。少しお伺したいことがありまして。その、甥御さんの陸君についてです」

少しの間をおいて、「どうぞ」と返事が返ってきた。

わたしは思い切って今聞いてしまうことにした。

「陸君には双子の兄弟っていますか?」

「いや、双子も兄弟もいないよ」

 「そうですか。驚くほど陸君に似ている人がいて、どうしても気になったんです。どうもありがとうございました」
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