記憶の中の彼
特に目的もなく二人でショッピングセンターをぷらぷらと歩き回る。

「これ、咲良に似合いそうだよ」

ナチュラルなかわいらしさ、手ごろな値段が若い女性に人気の洋服屋で美希が手に取ったのは、ふんわりと女の子らしいワンピースだった。

シフォン素材で青に近い明るい紺色の大き目なチェック柄。

女の子らしいけれどぶりぶりしていない。

美希はわたしの好みを知っていて、かつ自分では買わないけれどわたしに似合う服を勧めてくれる。

「かわいいね。わたしが面倒くさがりやだからワンピース推してるの？」

「そうそう。これなら合わせる服を考えずに着れるよ」

そう言って美希はにやりとした。

ワンピースを試着して気に入ったわたしは、先ほど選んだノースリーブのシャツを手にした美希と一緒にレジに並んだ。
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