記憶の中の彼
数少ない彼との共通点であったアルバイト先で彼に接近することはできなくなってしまった。
さて、どうするか。残された道は片瀬歩との直接対峙である。
そして彼が何者であるのかを明らかにするのだ。
人見知り気質であるわたしは日常において、特に仲が良くない相手に対して自発的に話しかけ、関わることをしない。
しかしわたしはどうやら頑固さと人一倍強い好奇心、無鉄砲な面とを併せ持っていたらしい。
一度決めたことは必ず遂行するつもりで努力をする。
これはわたしの良いところでもあり悪いところでもあると思う。
長所と短所は紙一重だ。
思い切って彼本人に小学生時代の卒業アルバム等を見せてもらおう。
陸とは違う学校に通っていたことが分かれば、彼は陸でないことの証明になるのだから。
問題は彼が見せてくれるか否かである。